一般社団法人とNPO法人の比較
これまでご説明しましたように、NPO法人は、すでに行政の認証を得て設立された法人です。
そのため、対外的な信用という点では、一般社団法人よりも信用度は高いといえるかもしれません。しかし、毎年の事業報告がされていないNPO法人も多く、設立時こそ行政からの認証がありますが、その後は、何もしていない法人が多いのも事実です。
このページでは、そのよう一般社団法人とNPO法人の比較をしていきたいと思います。
|
一般社団法人 |
NPO法人 |
株式会社 |
|
制限なし、公益、収益事業も可 |
特定非営利活動事業に限定(17事業)、収益事業も可 |
制限なし |
|
非営利 |
非営利 |
営利 |
|
なし |
少しあり |
なし |
|
法務局への登記のみ |
所轄庁の認証+登記 |
法務局への登記のみ |
|
不要 |
不要 |
資本金が必要 |
|
2人以上 |
10名以上 |
1名以上 |
|
理事1人以上 |
理事3人以上、監事1人以上 |
取締役1人以上 |
|
なし |
都道府県又は内閣府 |
なし |
|
なし |
都道府県又は内閣府 |
なし |
|
2~3週間 |
5ヶ月~6ヶ月 |
1~2週間 |
|
なし |
事業報告書の提出義務 |
なし |
|
定めにより、課税対象と非課税対象事業に分類される |
原則非課税。収益事業は課税対象 |
課税対象 |
事業内容
一般社団法事は、NPO法人と異なり、事業目的については原則として制限がありません。このため、公益事業・収益事業問わず、事業に合わせて設立する事が可能です。
営利性
一般社団法人、NPO法人ともに非営利法人となります。ここでいう非営利とは、利益を出さないのではなく、収入から活動経費を差し引いた利益を構成員で分け合わないという意味になります。
公益性
NPO法人は所轄庁の認証手続きを経て設立されますので、その意味からするとやや公益性があると言えるでしょう。一方、一般社団法人はこれまでの社団法人のように認定法人ではないため、社会的信用力に欠けると言えます。
社会的信用力のある法人を設立するのであれば、NPO法人の設立をお勧めいたします。
設立手続
NPO法人は一般市民への縦覧及び所轄庁の認証が必要となります。一般社団法人は、株式会社のように公証役場での定款認証のみでよいこととされています。そのため、設立までの期間も大きくことなります。
設立時資金
ともに、株式会社のような設立時の資本金は必要ありません。
社員要件
NPO法人と同様に、一般社団法人における「社員」も「従業員」という意味ではなく、社員総会において議決権を所有する者を言います。
なお、法人が社員になることも可能です。
役員要件
一般社団法人の役員は、理事・監事となりますが、理事は必ず置かなければなりません。この点は、NPO法人と異なります。
但し、理事会を設置する場合には、NPO法人同様に理事3人以上、監事1人以上が必要となります。
また、税務上のメリットを受けやすくする非営利性の一般社団法人を設立する場合は、理事を3人以上にする必要があります。
所轄庁・監督
一般社団法人の場合は、株式会社同様に特に所轄庁や監督権者というものはありません。
設立までの期間
一般社団法人の設立は、株式会社と同じ設立方法となるため、遅くても1ヶ月以内には設立することができます。もっとも時間の要する定款の作成がカギとなります。
毎年の届出
一般社団法人の場合は、NPO法人のような事業報告書を提出する必要はありません。
税制優遇
一般社団法人は、税制上の分類として①全ての所得が課税対象になる一般社団法人と、②とに分けることができます。
①全ての所得が課税対象になる一般社団法人
株式会社等と同様に、法人所得に対して課税される一般社団法人です。すべての所得についてなので、寄付や会費などにも税金がかかります。このタイプの一般社団法人は、設立時に特別に定款に盛り込むべきことや、この法人になるために特別に満たすべき要件はありませんので、一般的な一般社団法人設立の方法で設立することができます。
②収益事業のみが課税対象となる一般社団法人
NPO法人同様に、収益事業のみが課税対象となる一般社団法人です。収益事業以外の法人所得(会費、寄付など)が非課税になります。もっとも、収益事業は当然課税対象となります。
しかし、このタイプの法人となるためには、いくつかの要件があります。
・定款に剰余金を分配しない旨の定めがあること
・解散時の残余財産を国もしくは地方公共団体又は公益社団法人等に帰属する定めを定款に置くこと
・理事の親族制限に違反しないこと
・主たる事業として収益事業を行わないこと
これらは、NPO法人と近い法人形態言えます。
|